作品(21) こころ模様の色温度スペクトル

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0021.gifこれは、周囲をマスキングして、描かれたものですね。

何故マスキングをしたのかといえば、枠をはみ出す勢いを表現したかったのか、あるいはその逆かと。

枠が何を意味するのかは人それぞれの印象があるだろう。

一つ言えるのは、枠の中にこぢんまりとコンポジションを描くのではなく、その逆に既成概念や自分の思考やイメージングの枠を取っ払ってしまいたいという思いが見られるということです。

そのようにして描いたものの一部を切り取る行為として、マスキングがあるのかと考えています。



 この絵を受けて書き始め、終わりに掲載している油絵に向かって収斂していく内容となっております。
 本来は、絵とは別個に独立した表現とすべきなので、さらに手を加えることになります。
 どの詩も、再読してみるとどこか手直しをしたくなってきますので、どれも決定稿ではないということをお断りしておきます。



『こころ模様の色温度スペクトル』

あこがれは見果てることがない それは夢ではないからだ

吾焦がれは 自分の命を燃やすこと
こころの狩猟本能だから

年ごとに寒さが身にしみるようになってきた
けれどもそれは 俺が歳老いたからではない
まぶたの裡にたぎる色温度をカンバスに打ち据えて不定型なオブセッションを射精しつづけてきたからだ

生命(いのち)を突き動かす熱いもの/冷たいものを遠心分離して俺は
うつけた空蝉のように ひたすら吾焦がれを描き続ける
そして虚ろなこころの片隅には 暗い冷水塊が静かに凝結し
薄ら寒い焦燥となって背筋を移ろい始めるのだ

一枚のカンバスには、俺の体温が宿っている
吾焦がれの色温度が宿っている
若々しい血の色でなく ムンクの「叫び」のような黒でなく
パリの裏町の灰白色でもなく フォルクローレ織物の艶やかさでは、さらになく
阿修羅?混沌!情動... 

余計な言葉など 俺には いらない
この描かれた色と形をみて欲しいのだ
奔騰する想いの中から掬い上げた色と形なのだと
なぜこの色なのか、この形なのか? なぜこの色で、この形でなければならないのか...
それは俺にも分からない 自分の中では必然なことだったとしかいえない
最初の一筆あるいは最初の一撃
そこに秘密があるのだろう 

はっきりしていることは そこに俺の体温が宿っているということだけだ
吾焦がれの色温度を画布に定着させるたびに
俺の眼球の裏側で 滅していくものがある
魂の温度が下がるのだとしか言いようがない

けれどもそれは、けっして枯れていくというのではない
このように描き続ける俺の世界は いつの間にか作品の中に流れ込んでいき 
上皿天秤に乗っているこの生の方が 少しずつ軽くなっていくのだ

やがて俺は肉体という軛を解き放ち
五感の羅針盤にまかせて この国ではないどこかで行き倒れになるだろう

かれは もはや俺ではない
かれの体温は すでに描き得たものの中にしかないだろう

utiheno_tatakai.jpg                                           『内へのたたかい』 伊藤雄人

そのように 俺の躰はカンバスに今!むかっている

見果てぬ夢など 残るはずがない

吾が 焦がれの果ての 魂の色温度は絶対零度なのだと 想い つづけたい



 【注】

 『内へのたたかい』 2008年「自由美術展」出品作品
 展示室にてデジカメ、フラッシュ撮影のため、光の反射があり、反射部を修正しましたが、全体的な色合いが原画とは違っています。

 改めて撮影し直したときに、差し替えを予定しています。

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このページは、小林由典が2009年11月13日 23:42に書いたブログ記事です。

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